設計事務所のブログ
by kawazoede
トルコの旅
6月3日
22:00関空発のトルコ航空・エアバス320にて、イスタンブールへ。
イスタンブール・アタテュルク国際空港でトランジットし、トルコの内陸・カイセリ空港に到着。現地時間11:10。カイセリ空港はカッパドキアの空路・玄関口の一つでもある。
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小さな空港で、ホテルにお願いしていた迎えの車は、直ぐに見つける事が出来た。
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晴天で雲が少なく、乾いた空気。日差しは強いが、汗は直ぐに乾燥し、体感温度は気温に比して低い。



車は中高木が殆どない緩やかな起伏のある風景を進む。樹木の密生がほとんど見られない不思議な風景。川も横切らないが、砂漠ではない。どうやって環境を保っているのだろうと、また不思議。後で聞くと人の生活は井戸を頼りにしている様だ。

徐々に削り取られた奇岩が見え始める。その地形が特徴的な街・ギョレメに到着。ホテルは今回もパートナーのチョイスでCappadocia Cave Suitesだった。ホテルも、自然に削られた岩に、人工的に穴を掘って出来た住居跡を更にコンバートした物。その為、複雑なレベルと巣の様な独特の空間が出来上がっている。これまでに見たことのない空間。面白い、と感じる。どうやら元の石は脆い様だ。滞在中、上部の天井や壁から、砂状の欠片が少量落ちていた。
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ギョレメの街を散策。乾いた土地の乾いた路地。
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ギョレメ野外博物館まで歩く。元々人が住めそうにない場所に、イスラム教徒から逃れるため、岩に穴を掘り住居や教会を作り…といったキリスト教徒の集落跡が、カッパドキアには多数ある。その一つが野外博物館となっている。
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町の南に小高い丘があり、其処まで歩く。ホテルからは数100mの距離。町やその近辺を一望できる。モスクから礼拝の呼びかけアザーンが聞こえる。
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6月4日
早朝、3時に起床し4時にフロントへ。
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予てからのパートナーの希望もあり、バルーンツアーに参加する事にしていた。10人ほどの他の参加者と共に、車で郊外に移動。既に気球は多数空に上がっていた。ひざ下までの草むらを、ガイドの案内に従い歩くと、まだ膨らんでいない気球と籠が有った。
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バーナーと扇風機で膨らませ、徐々に空に浮き上がっていく。
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ツアー客は12名用の籠で、順番に搭乗。直ぐに浮上する。操作は基本的にバーナーの加熱のみで、操縦はその上下の動きと風の向きを読みながらのようだ。渓谷の斜面を自在に飛んでいるように見えるのは、経験と腕がなせる技量かと思う。
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最後に一気に上昇し、高度は1000mに達した。流石に見える風景も違い、やや緊張感を覚える。
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着地点は風の影響で毎回違うようだ。地面が近くなってくると回収用の車がどこからか走ってくる。無事着地し、シャンパンの乾杯。
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昼前、カッパドキアの周遊ツアーへ。カッパドキアは広域の為、車での移動は必須であり、大まかに3つのコースが設定されている。グリーンツアーに参加する事にした。

ギョレメ・パノラマからセリメ修道院へ。
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修道院とは言っても既に遺構となった痕跡。
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此処でも宗教間の対立から防御的な意味合いで、地形を利用し築かれている。
教会建築の要素はくり抜いた空間に多数見られるが、それは内部空間であって外観はヨーロッパの教会建築とは全く異なる。

移動しウフララ渓谷へ。渓谷の底の遊歩道を約1時間のハイキング。日差しが強い。
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昼食後、デリンクユ地下都市へ。ここも宗教対立から逃れる為、地下に生活の為の都市が築かれていた。1万人以上の人が住んでいたと言う、俄かには信じがたい暗く狭い地下の空間。
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夕方、スタート地のギョレメに到着。

夕食は町の中心付近、オープンテラスのManzara Restaurantで取る事にした。丁度夕日がローズバレーに当たり、名前の通り赤い斜面が良く見える席だった。
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オーダーはギョレメ名物の壺焼きケバブと鳥肉のケバブ。美味しい。
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蓋をあけると
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6月5日
ゆっくり目に朝をホテルで過ごし、カイセリ空港に移動。イスタンブール行の便に搭乗。

13時過ぎイスタンブール・アタテュルク空港着。迎えの車も直ぐに見つかり、新市街地に向け車は進む。途中の道、ヴァレンス水道橋、金角湾を渡りホテル・Misafir Suites 8 Istanbulに到着。事前の情報通り、入り口はこじんまり、分かり難い。インテリアは外観と異なりモダンデザインで統一され、設備も整い、過ごしやすいホテルだった。
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荷物を置き、夜まで十分時間が有った為、新市街地の主な通り・istiklalを旧市街地方向へ歩く。
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通りの終わりは急な坂の階段が続く。イスタンブール自体が高低差の多い地形の為、何処かに移動しようとすると坂を上がり下がりしなくてはならない。坂を下りた附近にカラキョイのトラムの駅があり乗車した。トラムの乗車は、カードに金額をチャージし、駅の入り口でかざすシステム。
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旧市街地は巨大なモスクが多数ある地区で、こちらも傾斜がきつい。スルタンアフメト・ジャーミィ(ブルーモスク)付近で下車。モスクの見学は幾つかの制約がある。1日数回ある礼拝の時間を避け、肌が露出しすぎない様など。女性は特に髪の毛を覆う物を被らなくてはならない。

因みに直ぐ向かいに見えるハギア・ソフィアは博物館の為、その様な必要性はない。

ブルーモスクへ。
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人生初めてのイスラム寺院見学だった。今回、トルコを旅行先に選定した理由の一つに、イスラム圏の文化を見たいという思いが強くあった。そういった意味でも、モスクは興味深い建築だった。
それ以後見たモスクも同じく、四角く囲まれた回廊の前庭があり、そこを介して正面の入り口に至る。キリスト教会建築には無い形式かと思うが、外部から直接聖域に入るのではなく、一つ中間の外部空間を置くあり方は東洋的と言えるのかも知れない。内部は複数のドームで空間は形作られている。窓が多数あり、またガラスは透明の為、空間は明るい印象。壁や柱の柱頭などの意匠はイスラム独特の物となっている。空間の印象はキリスト教会建築と異なるが、構成はビザンチン建築のそれを踏襲しているように見える。
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向かいに見えるハギア・ソフィアは最終入場が16:00の為断念し、直ぐ近くのYerebatan(地下宮殿)へ。宮殿とは言っても元は東ローマ帝国が築いた地下の貯水施設。古代ローマ人の建築技術のレベルの高さを感じる事が出来る。
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日没までまだ時間が有ったためトラムで1駅のグランドバザールへ。生活に根付いた物をイメージしていたが、現在は観光客向けの店舗の様だった。足早に通り抜ける。
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ホテルに戻る道、istiklal通り付近のFiccinで夕食。ここもまた美味しい。
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6月6日
istiklal通り沿いのガラタ塔へ。エレベーターで最上階まで上がる事が出来る。展望デッキは円柱状の建物を1周できる為、イスタンブールの街の全景を把握しやすい。
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新市街と旧市街をつなぐガラタ橋を歩いて渡る。
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トラムに乗りハギア・ソフィアへ。チケット売り場には、既に長蛇の列。15分ほど並び、入場。

建築は元々東ローマ帝国のキリスト教会として建てられたものが、後年イスラムのモスクとして使われ、その後博物館として現在に至っている。巨大なドーム状の空間を作り上げる為、その当時のテクノロジーが集結し、内部はほぼその原型を止めている様だ。
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トラム、地下鉄を利用しタクシム広場の北、軍事博物館へ。丁度14:50に到着。15:00から始まる軍楽隊のコンサートに間に合う事が出来た。曲目と演奏はオスマン帝国時代からの物で、士気を高め、敵を威嚇する物。なかなかの迫力。
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コンサートのホールは、軍事博物館のエントランスから奥まった位置にあり、行きは足早に通り抜けてしまった為、帰りはゆっくりと展示物を見ながら戻る。流暢な日本語で話しかけてこられる職員の方が有った。街中であれば警戒する所でも、ここは博物館の中。お伺いすると日本語を勉強中との事だった。とても勉強中とは思えないレベル。展示物も一つ一つ解説が付くと全く違って見える。丁寧に説明頂き、大変勉強になった。

夕食は、軽めにとの私の要望で、ホテル近くのケバブ屋さんで、ドネルケバブを購入。気の良いおじさんが「サービス」と、たっぷり目に包んでくれた様だ。
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6月7日
エミノニュ駅付近のフェリーポートへ。駅付近は旧市街の入り口、ガラタ橋の袂で、何時も人が多い。
ボスポラス海峡のクルーズ船に乗り込む。船は、ボスポラス海峡を黒海の方向に進む。黒海までの航路、両岸の距離が変化し、そこに見える歴史的建造物が海峡の風景を特徴づけている。
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船は終点のアナドル・カヴァウまで1時間半の行程。黒海は直ぐそこだが、丘に登り、ヨロス城址まで行かなくては望む事が出来ない。20分程歩く。
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船着き場までの帰りの道、ヨロス城址から近く見晴らしの良いレストランで昼食とした。
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夕方、出発地のエミノニュに到着。其処から直ぐ近くに見えるイェニ・ジャーミィへ。柱・壁を彩る装飾タイルが美しい。
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イェニ・ジャーミィに隣接するエジプシャンバザールへ。グランドバザールより小規模で、スパイスを中心にした品ぞろえで見やすい。しかし事前の情報で割高との事で、冷やかしのみとした。
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6月8日
ホテルから歩いてイスタンブール現代美術館へ。倉庫を改修して美術館にコンバートした建築。大通りからのアプローチがサインなどなく、分かり難い。
外観はほとんど手を加えられていない印象。内部はそれを感じさせない様なデザイン。展示物も楽しむ事が出来た。因みに美術館内は撮影禁止。
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ミュージアムカフェで一休み。

トラムでエミノニュ駅に移動し、バス乗り場へ。しかし案内が十分ではなく乗り場が分からない。何人かの人に訪ね、コチ博物館行のバスに乗車。博物館はコチ財団が運営し、収蔵物は車、飛行機、船舶、その他諸々で、恐らくコチ氏が収集したであろうもの。乗り物好きにはパラダイスかも知れない。
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再びエミノニュ駅にバスで戻り、そこから近くに見えるもう一つのジャーミィ、リュステム・パシャ・モスクへ。他のそれまでに見たジャーミィと違い、入り口がこじんまりとし分かり難い。小さな階段を上がり前庭に至る事が出来る。内部は青のタイルが印象的な空間。
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istiklal通りにあるメヴレヴィー教団の施設で、セマーを鑑賞する事にした。セマーは教団の宗教的な舞踏。今回の舞踏鑑賞は、商業的なショーではなくその様子を見学する物。
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演奏、歌、そして回る舞踏と、独特の物で興味深く見・聴き入る。

舞踏の後、建物を出ると庭でイルミック・ヘルヴァスの振る舞いが有った。素朴でほのかに甘く、温かいお菓子。
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6月9日
トラムに乗り旧市街へ。

イスタンブールに到着した際、車で通りぬけたヴァレンス水道橋へ。ローマ時代の遺構だが、現在もその存在感は大きい。
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そこから歩いて丘を金角湾の方向に下ると、スュレイマニエ・ジャーミィに至る事が出来る。暫し見学。
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再びエミノニュ駅からフェリーを乗り継ぎ、Besiktasへ。因みにイスタンブールではボスポラス海峡を渡す移動手段として、フェリーが日常的に使われている。
Besiktasでは、2012竣工のFish marketを見る目的が有った。
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イスタンブールには新築の現代建築が比較的少ない。その中で事前にピックアップしていた。竣工後1年程だが、大分粗く建物が使われ破損している箇所が気になるが、道の形状から出来上がった形態は面白い。Besiktasの街を暫し散策。恐らく観光客はあまり立ち寄らない、地元の人の為の活気が感じられる街。

夕食はガラタ塔近くのガラタ・キッチンへ。トルコの家庭料理をおいしく頂く。
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6月10日
午前中、ホテルをチェックアウトし荷物を預け、国立考古学博物館へ。ギリシャ・ローマ時代の収蔵品が多数あり、トルコの歴史の深さを感じる事が出来る。それはヨーロッパとアジアと交点にあり幾つもの文化、宗教、民族が交錯してきた歴史と理解した。
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夕方、ホテルに預けた荷物を受け取り、迎えの車に乗り込む。滞在中、デモの影響は全くなかったが、最終日の車は警察の道路封鎖による渋滞に巻き込まれてしまった。余裕を見て空港に向かった為、大きな混乱はなく、無事帰国。


関空から神戸までのバスの中で、次は何処へ行こうか・・・とまた考えてしまう。

毎回、旅行記の整理はパートナーのメモ等を参考にしている。以下はパートナー作の予習の手書きの地図。
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by kawazoede | 2013-06-04 00:00 | トルコの旅'13
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